暑い街熊谷でエアコンに頼らない暮らし・花音の森が東京都都市緑化基金賞受賞しました!
埼玉県熊谷市にある花音の森は、植物の力を生かしてエアコンなしで過ごす、新しい住まい方と活動の拠点です。
そんな日々の暮らしの取り組みが、このたび東京都都市緑化基金の40周年を記念して新しく設けられた「東京都都市緑化基金賞」を受賞しました。
東京都都市緑化基金は、1985年に東京都公園協会の中に設けられた、東京のまちの緑を増やすための基金です。
私は、この東京都公園協会が主催する街と緑をつなぐ「まちなか緑化士」という資格を持っていて、今回はその資格を持つ人の活動を対象とした部門で選んでいただきました。
2月に、花音の森を支えてくれる関根と共に、授賞式に参加しました。とても立派な賞状です♪

実は、花音の森も、この資格を学ぶなかで身につけた手法を生かしています。
学んだことを、まず自分の暮らしで実践してみる。
その積み重ねを評価してもらえたこと、とても嬉しく思いました。
ここからは、花音の森の庭づくりの考え方をご紹介していきます。
熊谷の夏も、エアコンに頼らない。植物と暮らす家と庭。

花音の森には、エアコンがありません。
訪れた方の多くが、玄関を入った瞬間に「え、エアコンある?」「熊谷とは思えない」「軽井沢みたい」と言ってくださいます。
外の気温が35℃を超える真夏の午後でも、家の中はそこまで暑くならず、室内が28℃ほどに収まっている日もあるんですよ。
でも、これは我慢や根性で乗り切っているのではなく、植物と設計の組み合わせが、自然に涼しさをつくってくれているからです。
花音の森が完成したのは2020年の1月。
実は、エアコンなしにしたいと話したとき、ほとんどの人に「無理でしょ」と言われました(笑)。
それでも諦めず、家の設計から庭の施工まで、一つずつ理想を形にしていったのが、この場所です。

花音の森のある熊谷は、夏の暑さで知られる街。
だからこの家では、建物そのものに夏の日差しを当てないことを、設計の軸にしました。
屋根や壁、窓に直接陽が差すと、その熱がそのまま室内にこもってしまうからです。
そこで、家の周りには落葉樹のコナラを植えています。
コナラは、夏には葉を茂らせて建物を木陰で包み、冬には葉を落として日ざしを室内へ通してくれる木です。
さらに東南向きの屋根は草屋根にして、上から伝わる熱もやわらげています。
写真から、家が覆われて影になっているのが、おわかりいただけるでしょうか?
エアコンで部屋を冷やすのではなく、そもそも家に熱を入れない。
地域の暑さという悩みに、植物の配置で先回りして答えているのです。
植栽は「飾り」じゃない。じゃあ何のため?

花音の森で大事にしている考え方が、植栽は飾りじゃない。という点。
植物は家を彩る「飾り」「デザイン」として扱われることがありますが、私は、植栽を遮熱・保湿・冷却といった「働き」を担うものとして設計しています。
地域の気候に合った在来種を中心に、高木・中木・低木・下草を立体的に重ね、常緑樹と落葉樹を組み合わせる。
そうすると、夏は葉が日射を遮り、冬は葉を落として陽を取り込む、というように、季節ごとに光と風の通りが自然に切り替わります。
つまり、美しさと機能は別々のものではなく、ひとつの設計の中で両立できるのです。
木陰の心地よさも、室温の安定も、見た目の豊かさも、すべて同じ植栽から生まれます。
そしてこれは、庭をご相談くださるお客様に、「そういう考え方素敵ですね」と共感していただけるところでもあります。
花音の森だからできることではなく、どのお家でもそんな植栽は可能です。
手をかけないほど豊かになる庭って、どういうこと?

花音の森は、庭を作り込むことよりも、環境を整えることを大切にしています。
なぜなら、環境さえ整えば、鳥や虫は自然と集まり、それぞれが自分の居場所を見つけていくからです。
例えば、農薬や化学肥料は使わず、落ち葉は株元に敷いて土を覆い、草は根を残して刈る。
剪定した枝も細かくして土へ還し、庭から出たものをできるだけゴミにしないようにしています。
すると土の中で微生物が活発に働き、土がゆっくりと呼吸を始めます。
雨もまた、排水設備に流すのではなく、草が絨毯のように覆う地面で受け止め、地中へゆっくりと還していく。
「どんな木をどこに植えるか」よりも「機能性を持った循環型の場所」として、土を育て、過度な負担がなく管理もできることを重要だと考えています。
そんな視点を取り入れた空間作りを行い、積み重ねた結果、いまでは300種ほどの植物が共存し、季節ごとに違う鳥や虫が行き交う、小さな生態系が庭の中に息づいています。

手をかけないことは、ラクをすることとは違います。
樹種や植える場所を最初に見極めて設計しておけば、年々手入れは軽くなるのです。
実際、約600㎡の敷地が、いまでは月に数時間の手入れで保てるようになりました。
長く続く庭とは、頑張り続ける庭ではなく、放っておいても育つ仕組みを最初に組み込んだ庭だと、考えています。
花音の森から、暮らしや人とのつながりはどう広がる?

日々の様子を発信していると、その心地よさに共感してくださった方が教室に来てくださったり、お庭づくりを依頼してくださったりします。
さらに、個人だけではなく、共感してくださった企業様、福祉や健康、まちづくりへと静かに広がっています。
緑を真ん中に置くと、人と人とのつながりまで育っていくのだと、日々実感しています。
花音の森がしていることは、植物の力を信じて、その働きを暮らしの設計に組み込むこと、ただそれだけです。
けれど、植物を一つずつ積み重ねていくと、エアコンのいらない涼しさや、手をかけずとも豊かな緑、人とのつながりまでが生まれてきます。
もし、あなたのお住まいでも植物と一緒に暮らす心地よさを育ててみたいと感じてくださったら、まずは一度、お庭のご相談にいらしてください!
どんな暮らしを送りたいか、そこから一緒に庭の方向性を考えていけたら嬉しいです。




